黒川伊保子さんの脳に関するコラムサンクスデイズ・スタイルでは、さまざまなジャンルの達人たちが団塊世代の毎日をさらに輝かせるヒントをコラム形式でご紹介します。

黒川伊保子・脳コラム|サンクスデイズ・プラチナ

永遠の感謝を、プラチナに刻んで

黒川伊保子|脳コラム

Thanks Days Style:黒川 伊保子 感性アナリスト・随筆家

苦楽を乗り越えて、いつまでもともにありたい夫婦。そのためには脳のメカニズムが大きく関わってきます。脳と感性という視点から、夫婦関係をアドバイス

第2回 男女の視点の違いとコミュニケーション

人工知能を開発した経験から、脳を切り口にした恋愛についての著書も多い、感性マーケティングの第一人者・黒川伊保子さん。脳は、想像以上に男女の特性が現れます。鋭敏で繊細な脳のメカニズムの特性を解説しながら、熟年夫婦のコミュニケーションのコツについてお話します。熟年世代特有の、感情のぶつかりあいを避け、ともに年を重ねたからこそ、パートナーに響くメッセージの伝え方をお届けします。

女性は共感されることに対して、心地よさを覚える
コミュニケーションにおいて、男女で大きく異なるところは何ですか?
男性の好むインテリアの一例
男性の好むインテリアの一例
女性の好むインテリアの一例
女性の好むインテリアの一例

「共感」に対して、心地よく感じるかどうかが、男女間で大きく異なる部分です。女性脳は「共感」をとても重要視しています。ですから、夫婦の会話で大切なのは、男性が「女性は共感されることに対して、心地よさを覚える」ということを理解し、活かすことです。

女性同士の会話を聞いていると、主語がいつの間にか変わっていたり、話があっちこっちに飛んだりすることが多くあります。それでも会話がどんどん盛り上がっていく…これは多くの男性にはなかなか理解できないことかもしれません。これには、「共感」だけでなく、女性脳は、自分が興味を持っているものをキャッチする力に優れているからです。女性脳は、何かを見た場合、手前から把握していきます。そこで「かわいい」とか「ステキ」と思ったものが記憶に残ります。買い物に行った帰りに、「あれ、かわいかったね」「あっちもよかったね」など、具体的な商品などを言わなくても、会話が盛り上がるのはそのためです。これは着眼点に共感して会話が進行しているからなんですね。

これに対して、男性は具体性、理路整然とした会話に心地よさを覚えます。そして、物事を把握するとき、全体のバランスを大切にします。インテリアを例にとって見ると、女性は棚に小物などを飾る人が多いですが、男性は全体的な調和を見て、スッキリした感じにする人が多い。こういう脳の特性がコミュニケーションにも現れます。

「共感、同意」でコミュニケーションを互いに楽しむ
熟年夫婦のコミュニケーションにアドバイスをください。

女性は自分が見ているものを相手が見ていると思い込む癖があります。夫婦は長い歳月をかけて、同化していますから夫に対してはなおさら、「同じものを見ている」と考えます。ですから、「あれ、いいわね」「さっきの人が持っていたあれ、ステキだったわね」と話す傾向があります。男性はこういう会話に対して、「あれって何だ?」と追求したくなってしまうと思いますが、あえて聞かずに、会話をしている雰囲気を楽しむことが大切です。大切なのは、「あれ」が具体的にどのようなものであるかではなく、同じものを見ているという一体感なのです。余談ですが、女性の市場に口コミが起こりやすいのも、この一体感、共感を多くの人と共有したいという女性脳の特性から起こります。例えば、食べて美味しかったスイーツ、心地よい化粧品などが口コミで爆発的にヒットすることがあります。これは、「あれよかったわ」「でしょ!ねぇ〜」と共感しあいたい欲求からおこるのです。

過去は全て優しい思い出。これからの未来に期待する
今、「妻を喜ばせたい」「妻に感謝の気持ちを伝えたい」と思う男性が増えています。でも、「ちょっと恥ずかしい」となかなか口に出せない人が多いのも事実。そこで、愛情や感謝を伝える効果的な方法を教えてください。
プレゼントをお互いに贈るのもいいけれど・・・
プレゼントをお互いに贈るのもいいけれど・・・

女性は、大仰なプレゼントや一世一代の海外旅行などより、日常の中でのさりげないセリフがいつまでも心に残ります。 それは、女性脳が、ことばを反復して味わう癖があるため。逆に言えば、負のセリフも何度も吟味されることになります。でも、既に言ってしまった負のセリフも、素敵なセリフで挽回できます。女性脳は、言葉で傷ついて恨むけど、言葉で上書きして優しく振り返ることも可能。怖いけど、カワイイ脳の持ち主なんです。

まずは、長い夫婦生活の中で、「奥さまが継続している何か」を見つけてください。そのことを感謝されると、女性はとても嬉しいものです。たとえば、奥様に「きみに洗ってもらったハンカチは、いつも驚くほどぴんとしてるね。当たり前だと思っていたけど、周りと比べたら全然違ったよ」「君の味噌汁をもう30年も飲んでるな…おふくろより長くなったなぁ…ありがとう」などさりげなく言ってみてはいかがでしょうか。男性の中には、今さらそんなセリフを言うのは恥ずかしい、妻だって何を今さらと苦笑するよ、とおっしゃる方がいますが、とってつけたようなセリフだとわかって苦笑しても、「あえてそれを言ってくれる心根が嬉しい」のが女心です。一生に一度くらい、やってみてください。奥様の嬉しそうな顔を見れば、きっと病みつきになりますよ。

長い継続過去だけではなく、短い過去時間もいたわってあげることです。買い物から帰ってきた妻に「暑かったろう(重かったろう)」、待合わせに遅れたら「イライラさせたね(心細い思いをさせたね)」と声をかけるだけでも、夫婦仲はかなり改善します。コツは、女性の過去時間の気持ちをことばで反復してあげることです。我が家の高校生の息子は、切れた電球を換えてね、と頼んだら、「いつ切れたの?ハハは暗い中でトイレ使ったの?かわいそうに」と言ってくれます(微笑)。大袈裟だと思っても、やっぱり嬉しい女心です。

こうして、夫から妻への感謝やねぎらいは「過去時間」がキーワードですが、妻から夫へのそれは「未来時間」がキーワード。男性脳の場合は、「過去の継続への慰撫」よりも「未来への継続の期待」のほうが心地いいんです。つまり、頼りにすることです。「あなたに聞いてみないと不安だから」「こればっかりは、やっぱりパパじゃなきゃ」「ずっとずっと元気でいてね。頼りにしてる」というセリフをずっと言ってあげたいですね。

次回のテーマは、「アナログ脳、デジタル脳」

男女の脳の差にスポットを当て、夫婦関係から流行がなぜ起こるのかについてまで、幅広く紹介。脳を知れば、自分自身も世の中も見えてきます。人間の本質を知り、楽しい人生を過ごすコツがわかります。

黒川 伊保子 Profile

感性アナリスト、随筆家。長野県生まれ。大学卒業後、民間企業にて14年間に亘り人工知能(AI)の研究に従事。
退職後、数社を経て2003年に(株)感性リサーチを設立。脳機能論とAIの集大成による語感分析法『サブリミナル・インプレッション導出法』を発表し話題に。感性分析の第一人者となる。

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