黒川伊保子さんの脳に関するコラムサンクスデイズ・スタイルでは、さまざまなジャンルの達人たちが団塊世代の毎日をさらに輝かせるヒントをコラム形式でご紹介します。

黒川伊保子・脳コラム|サンクスデイズ・プラチナ

永遠の感謝を、プラチナに刻んで

Thanks Days Style:黒川 伊保子 感性アナリスト・随筆家

苦楽を乗り越えて、いつまでもともにありたい夫婦。そのためには脳のメカニズムが大きく関わってきます。脳と感性という視点から、夫婦関係をアドバイス

第1回 趣味や体質の変換は7年周期

人工知能を開発した経験から、人間の「感性」を切り口とした商品開発や、「脳」から読み解く恋愛論の第一人者・黒川伊保子さん。結婚24年目のご自身も熟年世代の夫婦関係には、並々ならぬ興味をお持ちとか。まだまだ未知の部分が多く、自分自身が考えている以上に、鋭敏で繊細な脳のメカニズムから、熟年夫婦の関係についてアドバイスします。熟年世代特有の、男女のすれ違いを紐解き、夫婦で楽しく過ごす知恵を3回にわたって紹介します。

7年で人間の体質、趣向は入れ替わっていく
長い歳月を共に過ごしていると、パートナーの何らかのアクションに対して、以前は不快に感じても、今は好ましく感じることがあります。もちろん、その逆もあります。これはどうしてですか?

人間の趣向は7年で入れ替わります。趣向だけでなく、体質も7年で変わります。例えば「アトピーは発症から7年ごとに劇的に軽減する年がやってくる」と言われています。現場の医師たちの経験則から語られていることですが、これは、人間の骨髄液が入れ替わっていることが原因とも考えられます。この骨髄液は生体の免疫システムに密接な関わりがあり、7年サイクルで入れ替わっているのです。生体に、ある一定の刺激が加えられるようになり7年経つと、身体の免疫システムがそれを刺激ではなく環境の一部と見なします。このため、アレルギー症状が軽減したり、どきどきしていたものに飽きたり、ということが起こるのです。この「趣向や体質の変換は7年周期」という視点から、ご自身の嗜好の変遷や体質、家族の関係の変化などを辿ってみる と、7年周期でいろんな転換点が訪れていることに気づかれる人もいるのではないでしょうか。

夫婦関係も7年周期で変わっていく
この「7年周期」は夫婦関係についても同じことが言えますか?
結婚は、貴方自身も知らなかった自分の匂いが、パートナーに認められたということ。
結婚は、貴方自身も知らなかった自分の匂いが、
パートナーに認められたということ。

もちろんそうです。結婚生活というのは、相手の匂いの中で暮らすことです。その匂いが、最初は“生体にとっての刺激”なのでどきどきするのに、7年経てば、どきどきはしなくなる、ということです。  相手の匂いを意識したことがないと思われる方も多いかもしれません。異性の体臭の一部にフェロモンと呼ばれる匂い物質があります。フェロモンは、食物や花の匂いとは別の受容体によって受け取られ、顕在意識を通りません。つまり、知らないうちに嗅いでいる匂いなのです。

フェロモンは、遺伝子の情報の一部、免疫抗体の型を匂いで異性に知らせています。嗅いだ側の脳は、自分とその相手との遺伝子配合の相性を判断します。そして、子孫の生存可能性が高い相性の相手に発情するのです。このセンサーは、哺乳類の場合、雌のほうが遥かに鋭敏です。雌のほうが生殖リスクが高いからですね。ヒトの雌、つまり女性の場合、一回の生殖に約3年を費やします。命がけで産み、自分の身を削って育てるに値する遺伝子かどうかを見分けているのですから、当然、厳しく判定することになるわけです。ちなみに、思春期の娘が、父親や兄を「臭い、気持ち悪い」と感じるのは、生殖相性の悪い相手だからです。生殖相性は、免疫抗体の型(タイプ)が遠く離れており、一致しないほうがいいのです。

さて、結婚したというのは、この鋭敏なセンサーがOKを出した証。つまり、自分と違う匂いだからこそ、強く惹かれて結婚するのです。
匂いは、「異性として刺激を感じて、発情する」ための重要な要素なんです。ところがこの匂いにも、共に暮らせば7年で慣れてしまう。私たちの脳も骨髄液と同じ7年サイクルで、一定の刺激に対して、7年で飽きるという特性がありますからね。「結婚7年目になると、子どもも成長し、しみじみ家族になったな…」と多くの夫婦が感じるのは、この特性が影響しています。7年、14年、21年、28年と7年周期で趣味、嗜好、考え方などが変わり、夫婦の関係も形を変えていくのは、この脳の特性が大きく影響しているのです。

「7」は人間にとって不思議な関わりのある数字
「7」という数字は、ラッキーセブン、七五三など「めでたいもの」と世界中でとらえられている気がしますが、それも脳や骨髄液の周期に関係あるのですか?

感性マーケティングの世界でも、「7」は「マジカルナンバー・セブン」と言われる不思議な数字なのです。人間は7つ揃うとやり遂げた気がするし、パッと見て覚えられる数字は7個までなんです。たとえば、昔の電話番号が7桁だったのは、8桁になるとダイヤル完了までそらで覚えておける人の数が激減するからだったそうです。転職が多いのも7年目ですし、離婚するカップルも結婚7年の場合が多いと聞きます。そうそう、最近「熟年離婚」が社会問題になっていますが、これも7年周期が深く関わっています。人間は7年の周期を4回重ねると、正反対の感性傾向を示します。

たとえば、「優しさが好き」だと思って結婚したのに、28年目には「優柔不断さがたまらなく嫌」となっていたり、「男らしくて頼もしい」と思って結婚したのに、「強引さがたまらなく嫌」となったり。一方で、相手の匂いはとうに刺激ではなくなり、「自分の一部」になって強い一体感が生じています。配偶者を自分の一部のように感じているのに、いっそうイライラする、というのが結婚28年目の夫婦の、特に妻側に起こる「脳の気分」です。でも、これも3年くらいするとうそのように収まり、また夫婦は同化します。この結婚28年目を無事にやり過ごすことが末永い夫婦関係のためにはとても大切です。

28年目に訪れる夫婦の危機をやりすごす方法
その28年目の夫婦の危機をやり過ごし、30年目過ぎに訪れる、同化できる期間に向けて備えるにはどうすればいいのでしょうか。
熟年離婚の危機である28年目を乗り切るプレゼント。
熟年離婚の危機である28年目を乗り切る
プレゼント。

この28年目の危機は、相性がよく、仲がいい夫婦であればあるほど訪れてきます。遺伝子的に異質なことも作用し、深く愛し合ってきた男女が20年以上かけて同化し、それが28年目にして異質に感じられるようになる。そして、相手を警戒するようになります。これは、多くの夫婦の場合、感情とは関係なく、脳の警戒機能によってパートナーを異質に感じるようになってしまうのです。ですから、この時期はお互い干渉せずにやりすごすことが大切。だって、これを乗り越えれば、さらに深く愛し合う30年目が待っているのですから。
それに向けて行いたいのは、この「28年夫婦の危機周期」をお互いに知り、理解することです。25年目くらいから、プレゼントなどを贈りあい、「そろそろ28年目だね、何があってもいっしょにいようね」と約束するのも良いでしょう。

次回は男女の脳のそれぞれのメカニズムにスポットを当てて、特徴を解説します。

いわれてみれば「なるほど!」とうなずいてしまう脳の性質と、夫婦のコミュニケーションのコツを紹介します。

黒川 伊保子 Profile

感性アナリスト、随筆家。長野県生まれ。大学卒業後、民間企業にて14年間に亘り人工知能(AI)の研究に従事。
退職後、数社を経て2003年に(株)感性リサーチを設立。脳機能論とAIの集大成による語感分析法『サブリミナル・インプレッション導出法』を発表し話題に。感性分析の第一人者となる。

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