Thanks Days Style:松岡 真理 フリーライター
カラダの健康とココロの健康。団塊世代のふたりの暮らしを楽しむための大切なテーマです。毎回あらゆる角度からわかりやすく提案します。
第1回 健康増進と気分転換にお勧め! 低山登山
健康専門の記者として、医療情報誌や健康専門誌など様々なメディアで執筆している松岡真理さん。ご自身も健康には気を遣っているという松岡さんが、夫婦と健康について語ります。新しい健康法や、サプリメントが次々と登場する時代ですが、健康のベースは体の内外を健やかに保つことにあります。
団塊世代は、運動不足気味?
運動の習慣がこれまでなかった人は、まず何を始めたらいいのでしょう?
団塊世代に限らず、現代人は運動不足気味です。筋肉は使わないと、しなやかさを失います。これによって起こるのが、「四十肩」。腕をめったに上げないから、筋肉がこわばって、腕が上がらなくなってしまう現象です。例えば、洗濯物を干すときに、積極的に屈伸をする、掃除機をこまめにかけるなど、家の中での行動でもちょっとした心がけで運動不足は解消できます。こまめに意識して筋肉を動かしていると、骨折予防やダイエットにも役立ちます。運動不足というと、いきなり激しく動かす人もいますが、それでは筋肉や筋を傷める可能性がありますので、ゆっくりと呼吸し、筋肉の動きを意識しながら動かすことをお勧めします。
まずは、夫婦や友人と始めたい登山
最近、熟年世代の「運動」といえば、登山が人気ですが…

「登頂の瞬間、疲れが吹っ飛びます」という
松岡さん
登山は運動にもなるし、気分転換にもなります。そして何よりも達成感があるので、一度山に登ったらその魅力にとりつかれてしまう人が増えています。実は私もその一人。3年前にアウトドア好きの夫にむりやり連れて行かれるようにして、屋久島の宮之浦岳に登りました。土砂降りの雨だったし、気温も低く「一体私は何をしているんだ…?」と思いながら、必死で登りました。でも登頂の瞬間、そこから見た景色や澄んだ空気にすべての疲れが吹っ飛びました。そこから山に魅せられた気がします。私の経験から、登山初心者の人は、必ずパートナーとともに登ることが大切。初めは近場の登山道が整備された里山(低山)から始めてみては。夫婦でも友達でも、気心の知れた、ある程度、体調や性格をわかってくれる人と一緒に行くと、楽しく登山ができますよ。余談ですが、下山後の冷たいビールに温泉、郷土の旬の味は格別です。会話もはずみます。
深い呼吸で1歩1歩登ることが一番のコツ
これまで、どんな山に登ったのですか?
槍ヶ岳(日本アルプス)、金時山(箱根)、熊野古道(和歌山)、比叡山(京都)、丹沢山系など多くの山に登りました。毎回、空気と景色のすばらしさに感動します。最初はただ必死に登っていたのですが、最近では登山を楽しむコツがわかってきました。それは、深く呼吸し、呼吸を整えて歩幅をすこし狭くし、1歩1歩を規則正しく登ることです。こうすることで、ペースオーバーにならずパートナーとの間隔に、遅れることを防げます。特に登りのときは、いつもより深く呼吸するようにするといいですよ。登山を始めると、駅の階段やビルやマンションの階段を「練習を兼ねて…」と積極的に登るようになりました。すると、運動不足も解消できるし、体力づくりにもつながります。
理想的なペースは、50分歩いて10分休憩
実際に山に登るときの注意事項を教えてください。
事前に地図を準備し、携帯することは必須です。また、こまめに休憩を取ることも大切です。理想は40分〜50分歩いたら、10分程度休憩すること。休憩のときも意識して深い呼吸をすると、高山病を予防することができます。あとは、道具選び。靴底が硬く足首までをしっかりサポートする登山靴、山は天気が変わりやすいので、上下の雨具、そしてひざのサポーターは必需品です。私はサポーターをつけずに下山したことがあるのですが、ひざに負担がかかり1週間くらい痛みに悩まされたことがあります。登山は特に下りのときにひざに負担をかけるので、気になる人はサポーターやスポーツタイツなどを着けることをお勧めします。
東京の御岳山は「山の魅力」がつまった山
今まで多くの山に登った中で、いちばんお勧めの山はどこですか?

弘法大師由来の北斗岩(筑波山)の前の松岡さん
東京の御岳山です。手軽にいけるし、初心者も楽しめます。そして鎖場(鎖ずたいに斜面を登るスポット)があり、1日で「山の楽しさ」を味わえるところがいいですね。これは私に限らず、海外の山々を経験してきたベテラン登山愛好家が口をそろえて言っています。「御岳山から登山を始め、御岳山に終わる」という人もいるくらいです。そして、四季折々に表情を変える筑波山(茨城県)もお勧めです。いずれも整備されているし、ハイカーも多いので初心者の方でも楽しめると思いますよ。
夫婦で山登りは絆を深める
松岡さんは夫婦で山登りをされることが多いそうですが、夫婦で山登りのいいところはなんですか?
何十年も一緒にいる相手だから、「そろそろのどが渇く頃だろう…」とか「つらくなってきてそうだ」とか、相手の考えていることがなんとなくわかることです。山登りは低山といえども辛いときもあるし、天候に恵まれないことも多いです。そういうときにさりげなくお互いサポートしあえることが、夫婦の山登りのいいところですね。言葉にしなくても通じ合えるのは、友人でも登山の専門家でもなく、夫婦だからこそだと思います。また夫婦で山を制覇(登頂)したときの達成感は最高。ともに苦しい思いをし、ちょっと休んだり、助け合ったりしながら美しい風景の山を一歩一歩登る…まさに人生のようです。だからこそ絆も深まるのではないでしょうか。
山登りは心も体も健やかにする
登山は健康を増進するといわれていますが、実際、どのような効果があるのですか?
まず、筋力がアップします。そのことで骨も強くなります。筋力がアップすると代謝が上がり、体内に溜め込まれた脂肪が燃えやすくなりますので、内臓脂肪を減らすなどメタボ解消効果も期待できます。また、山は足元が舗装されていないので、自分自身の平衡感覚が鋭敏になります。バランス感覚がよくなり、ちょっとしたことで転倒しなくなるはず。そして、爽快感、ストレス解消、満足感などいいこと尽くめです。これから、私自身も「熟年」と言われる世代に差し掛かりますが、登山を続けていこうと思います。これからは国内外の世界遺産巡りにも挑戦したいと夫婦で計画しています。世界遺産は道やトイレなどが整備されているところが多く、熟年世代にもお勧めです。
次回は健康と夫婦について考える松岡さんに、若々しさと内蔵の関係について語っていただきます。
健康に何かのトラブルを抱える人が増える熟年世代に向けて、食や生活習慣など多角的な視点から、アドバイスをします。
第2回へ
松岡 真理 Profile
フリーライター、エディター。佐賀県生まれ。 テレビ局、文化財団での勤務を経て独立。 1994年からフリーランスのライター兼エディターとなり、 現在、食材の機能性や医療などの健康記事の執筆を中心に活動している。 趣味はスキューバダイビング、登山、スキーなど。 また、実家が浄土真宗本願寺派の寺院のため、20歳の時に得度を受けて僧侶に。