生和寛さんの遊びに関するコラムサンクスデイズ・スタイルでは、さまざまなジャンルの達人たちが団塊世代の毎日をさらに輝かせるヒントをコラム形式でご紹介します。

生和寛・遊びコラム|サンクスデイズ・プラチナ

永遠の感謝を、プラチナに刻んで

Thanks Days Style:生 和寛 編集者・作家・モデル

気力、体力…あらゆる意味で若者を凌駕している団塊世代は、趣味を楽しむ黄金世代。そこで、「本物」を知る視点からその楽しさを解説します。

第2回 「憧れ」をやってみよう

ファッション、ガーデニング、お酒etc.…多くの雑誌に、趣味についてのエッセイを発表している生和寛さん。中でも、3年以上にわたって、サーフィン専門雑誌に連載しているエッセイは、人気を誇っています。いつでも新しいことにチャレンジする、趣味について伺いました。

若い頃からの憧れを実現すべく、50歳からサーフィン開始
始めたきっかけはなんだったのでしょうか?

中学生の頃、郷里の長崎の映画館で『白銀は招くよ』を観て、その後大学生のときに『ビックウエンズデー』を観たんです。それらの映画で描かれている主人公がとてもカッコよくて、憧れました。また、その反面、とても享楽的に見えた。オシャレして女の子をはべらせて、スキーしてサーフィンするなんて、当時の日本人にしたら夢のような話。現実を見ると、両親は汗水たらして働いて、必死になって僕を大学まで出してくれた。ですから、「享楽的な趣味を持ってはいけない」と自分を戒めていたんです。それに、サーファーってナンパなイメージがあるじゃないですか。ですから、若い頃はトライアスロンや冒険、登山、水泳などストイックなことばかりしていました。50歳になったときに、両親もリタイアし、「ここらで自分の憧れをやってみようかな」と思って、スキーとサーフィンにトライしたんです。

熟年世代には美術品のように美しいロングボードがお勧め
サーフィンにはロングボードとショートボードがありますが…

アグレッシブで難易度が高いショートボードと、クルージングのように楽しめるロングボードがあります。私はロングボードでサーフィンを楽しんでいます。熟年世代でこれから始めたいという人にもロングボードをお勧めしますね。波の乗り心地もありますが、やはり、プロダクトそのものの美しさもその魅力です。職人が1枚ずつ丁寧に作ったロングボードは、美術品のような輝きを放つものも多くあります。趣味って、道具を持つ喜びも醍醐味のひとつ。もちろんロングボードは部屋や書斎に飾っても絵になります。

予想と反し、サーフィンは辛く厳しいものだった…
実際、始めてみていかがでしたか?
サーフィンにおいて、ボードの上に「立つ」ことはひとつの上達の証。これは、サーフィンを始めて1年後、初めてボードの上に立った記念すべき1カット。
サーフィンにおいて、
ボードの上に「立つ」ことはひとつの上達の証。
これは、サーフィンを始めて1年後、
初めてボードの上に立った記念すべき1カット。

スキーは寒さなどでちょっと体質に合わなかったので、サーフィンに集中しました。もともと水泳が得意で持久力もあったので、海に出れば簡単にできるだろう…と思っていたら大間違い!! 享楽的どころか修行のような辛さでした。まず、波を捉えるのが大変、そして波を長時間待っているのが大変、そして捉えた波に乗るのが大変という三重苦が待っていました。「波」って一言で言いますが、同じ波はひとつもありません。そもそも、波が起こるには、赤道で温められた空気が風になり、その風が水面を巻き上げて波が起こるんです。ですから僕がサーフィンをしている湘南に波が来るまで、長い旅をしています。その旅の過程で地形、風の強さ、障害物などいろいろな条件が重なって「波」ができているわけですから、同じ波での反復練習ができないんです。だから、上達するのに時間がかかる。だからこそ面白いんですね。

地球と一体になって遊ぶ感覚を味わう
お話を伺っていると、かなり大変そうですが、10年続けてきたのはなぜですか?

サーフィンを始めなかったら、波について考えることもなかったでしょうし、地球全体のことを考えることもなかったでしょう。本当にいろいろなことを考えさせてくれるスポーツだからです。まさに、「地球と一体になって、地球に遊んでもらう」という楽しさは、サーフィンならではと思います。そして、上達したいと思うから、体力作りが習慣になります。毎日、ストレッチや軽いランニングをしているんですが、サーフィンを上達したいという目的がないとなかなか続きません。運動をこまめにしていると、いつまでも若く元気でいられます。熟年世代の多くは、メタボ対策やダイエットなどを目的にして、運動を始める人が多いと思いますが、それだと続けるのはなかなか大変だと思います。でも、「これをしたい!」という目的があると、運動がとても楽しくなるし、生き生きしてくる。ですから、趣味を持って生きることは大切なことですよ。

いつ始めても遅すぎることはない
サーフィンはもちろん、体を使う趣味を熟年世代から始めるのは大変のような気がしますが…

正直、私自身もあと10年早くサーフィンを始めていればな…と後悔することもあります。でも、いつ始めても遅すぎることはないんです。また、何を始めればいいと考えたときに、「若い頃の憧れ」を思い出してみるといいでしょう。高度経済成長期の日本人にとって、雲の上の趣味だった、乗馬、テニス、ゴルフ、サーフィン、スキー、ダイビング、ヨット、水上スキーなど、今では初心者に親切なスクールがたくさんあります。もちろんバランス感覚の衰えや体力の低下、筋力不足など自分自身の体もなかなか思うように動かないこともあります。スクールはいつでも門戸を開いているし、体力は日々のちょっとした運動と食事で取り戻すことができます。そして、熟年世代は体力面と反し、精神面は豊かになっています。あせらなかったり、失敗しても恥ずかしくなかったり、根気よく続けられたり、長所もたくさんあります。決して無理をせず、マイペースに続けていけば、憧れだった何かができるだけでなく、衰えない肉体をキープできるのです。

パートナーと感動を分かち合う喜び
奥様はどのような趣味を楽しんでいらっしゃるのですか?
生さんのサーフィンスタイル。頻繁に練習をしているのは、伊豆・熱川のセカンドハウスの近くの海。九十九里や湘南に脚を運ぶこともしばしば。
生さんのサーフィンスタイル。
頻繁に練習をしているのは、伊豆・熱川の
セカンドハウスの近くの海。
九十九里や湘南に脚を運ぶこともしばしば。

さすがにサーフィンは一緒にしないのですが、旅行に行ったり、別荘に行ったり夫婦で出かけることは多いですね。彼女はアウトドアが好きで、僕の仕事が忙しいにもかかわらず、無理矢理連れ出すこともあるんです(笑)。で、最初は「この忙しいのに…」と頭の中でプンプンしているんですが、東京から離れるにつれて、「まあいいか…」になって、目的地に着く頃には「忙しさから引っ張り出してくれてありがとう」って気持ちになっている。趣味って夫婦バラバラに行ってもいいのですが、ひとつくらいお互いに感動を分かち合えるものがあってもいいと思います。長年、一緒にいてすべてを分かっているからこそ、同じものを観て感動する喜びは、若い頃より深みが増しているはずですよ。

次回のテーマは「お出かけ」。熟年世代のための、究極の「心の豊かさ」とは何でしょうか?

アウトドア好きな奥様と一緒に、山梨、静岡とふたつの別荘で満喫する週末ライフは、何よりのリフレッシュになる、と生さんは話します。都心からほどよく距離を置くことでわかる、本当の大人の“充電”についてうかがいます。

生 和寛 Profile

編集者・作家・モデル。長崎県生まれ。大学では探検部に所属し、卒業生で結成した「創作集団ぐるーぷ・ぱあめ」にて、企業PR誌、旅行誌を手がける。40才で独立、株式会社ラニングを設立し、ファッション誌・ライフスタイル誌を中心に活躍中。週末は八ヶ岳と伊豆にあるウイークエンドハウスに通い、そこを拠点にガーデニングや登山、サーフィン、シーカヤックを楽しんでいる。

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