Thanks Days Style:勝谷誠彦 コラムニスト・写真家・コメンテーター
長い時間をともに過ごし、人生のパートナーとしてともに歩んできた夫婦。だからこそ、同じ目線、視点で旅を楽しみたい…。そんな旅の楽しみ方を、コラムニスト・勝谷誠彦さんが紹介します
第3回 海の幸が旨い土地の、絶品は山の幸
政治、経済、社会…現代が抱える問題に対し、鋭く切り込むことで知られる“闘うコラムニスト”勝谷誠彦さん。実は、全国各地の日本酒の蔵を巡り、観光化されていない地元の鉄道を綿密に取材した、旅のジャーナリストでもあります。隅々まで日本を踏破した経験から、日本の名物についてのお話を伺います。
海産物が旨い土地は、山の幸が絶品!
日本国内の旅についてお伺いしたいのですが、やはり国内旅行の最大の楽しみは、食べ物です。その土地の“本当においしいもの”の見つけ方を教えてください。

日本海と太平洋側では獲れる魚介類に違いがある日本。その土地の特性がもっとも現れるのは海産物です。広島カキ、越前ガニ、瀬戸内の鯛など世界中から注目を集めるほど、高い評価を得ている海の幸も多数あります。ブランド的な扱いを受ける食べ物の産地に行くと、“何が何でも食べたい”と思うのはわかります。でも、食べ物には旬があり、お目当てのものがいつでも食べられるもわけではありませんし、季節はずれに供されるのは、冷凍保存されたものや、違う産地のものかもしれません。冷凍技術の進歩で、旬に対して鈍感になってしまっていますが、旅のときは敏感に旬を考えて出かけてください。旬を意識したら、注目するのは山の幸。私の経験から“海の幸が旨い土地は、山の幸も旨い”ということ。海産物が豊富な湾岸に生きる生き物は、山を通った水、養分を栄養にして成長します。山の自然が豊かで、山の幸が旨い場所は、海産物も旨いのです。ただ、両者の旬が一致するとは限らないので、それぞれ違う季節に行くと、それぞれ新しい発見があるはずです。
鳥取県智頭町は、海も山もなんでもござれ!
海の幸、山の幸の両方が絶品の街を教えてください。
鳥取県の智頭町です。鳥取というと、カニやイカなど海の幸のイメージがあります。意外に思われるかもしれませんが、ここは山の幸が絶品! なぜなら、杉を植林しており、街をあげて山を育てており、春の山菜や岩魚などは、「今まで食べていたのは何だったんだ…」と思うくらい。こういう“意外性”を見つけるのは、冒険心があるからこそ。もちろん、後悔する場合もありますが(笑)。また、食べ物の旨い街は、お酒を丁寧に造るよい酒蔵がある場合が多い。産地のものを、産地の酒で楽しむ…これは人生の大きな喜びのひとつです。
こうしてお話していると、インターネットでの情報は、明確な目的、知識がないと得たいものには行き当たらないことに驚きます。「海の幸 山菜 岩魚」と検索をかけてみても、智頭町はヒットしない。そして、ヒットしても得られる情報は驚くほど少ない。こうして旅をテーマに話をして、出てくる情報こそ“本当に使える”情報かもしれません。自分の行きたい旅、理想の旅の情報は、旅とまったく関係のないところにヒントがあることがあります。そういう情報をもらさずキャッチできるように、アンテナを張っておくといいでしょう。
文化の土壌がある街は、すべてがすばらしい
いろいろな街を旅している勝谷さんですが、すべてがすばらしいと感じる街はどこでしょうか?
多くの街がすばらしいですが、中でも特筆すべきは佐賀県の唐津市です。唐津焼の本場であり、街のいたるところに文化の高さをうかがえます。街の名前の由来も、唐(から唐、韓などの大陸)の津(窓口、港)と言われており、奈良時代から最先端の文化が入ってきた地でもあります。また、豊かな海の幸を誇る玄界灘があり、背後には美しい自然の山々に守られています。万葉集の舞台にもなり、豊臣秀吉の朝鮮侵略の要所にもなり、多くの伝説が語り継がれています。幽玄の街にいるような雰囲気も魅力です。そして唐津には、明治、大正の面影が残る「洋々閣」という旅館があります。ここは庭園、サービス、雰囲気、何もかもすばらしいのですが、唐津焼の第一人者・中里隆さんの作品があるギャラリーがあることも魅力。洋々閣の近くには、ハッと驚くほど旨い寿司を食べさせてくれる「銀鮨」という寿司屋があります。唐津に限らず、文化が静かに息づくすばらしい街はたくさんあります。何をいいと思うかは人それぞれ。ご自分の感性に合う街を見つけて、何度も訪れてみてください。
自由な旅とは思いつきで行く旅
旅の達人の勝谷さんが、旅に欠かせない秘密兵器を教えてください。

体ひとつあれば、どこにでも旅に出られます。ですから、愛用のグッズみたいなものはありませんね。ただ、秘密兵器のようなサービスを愛用しています。旅は“自由さ”を楽しむもの。それをサポートしてくれるサービスが、ANAの「プレミアム パス」です。これは一定の金額を支払うと、1年間ANAの飛行機が乗り放題というすばらしいサービスです。私は毎週大阪⇔東京間を移動していますから、このサービスが欠かせません。そして、メンバーになっていれば、思いつきでどこにでも行けます。例えば、お昼から時間が空いたときに、「これから沖縄で夕飯を食べよう」と思いついて実行に移せるんです。実際に行かなくても、すぐに行けるという状況を得られる。これはとても自由な旅のあり方だと思います。沖縄で琉球料理、北海道でジンギスカン、高松でうどん、九州で寿司…メンバーだったら思いのままに移動できます。思いつきで行った街で新しい発見をすることを想像するだけでワクワクします。
いつまでも若く美しく、輝く人であるために
旅をテーマにお話を伺った、勝谷さんは今回で最終回。次回からは美容家・佐伯チズさんにバトンタッチ。年齢を重ねてもなお輝く若さの秘訣について、たっぷり語っていただきます。
佐伯チズさん第1回へ
勝谷 誠彦 Profile
コラムニスト、写真家、コメンテーター。兵庫県尼崎市出身。早稲田大学第一文学部卒業後、文藝春秋に入社。週刊文春、文藝春秋の記者を経てフリーランスに。旅行、グルメ、歴史、政治など多くのジャンルに造詣が深く、著書も多数。近著は『偽装国家 日本を覆う利権談合共産主義』、『彼岸まで』などがある。